2025-01-01から1ヶ月間の記事一覧

なぜIgG4抗体が主役となる自己免疫疾患でIVIgが効きにくいか?

自己免疫性ノドパチーなど,IgG4抗体が関与する自己免疫疾患に関する総説がNeurol Neuroimmunol Neuroinflamm誌に公開されています.IgG4抗体による自己免疫疾患の病態機序,そしてその病態に合わせた免疫療法として何が最適かを解説しています.結論を言う…

COVID-19による脳神経障害のメカニズム ~Experimental Neurology誌特集号のご案内~

このたび,海外医学ジャーナル Experimental Neurology 誌の特集号でGuest Editorを務めさせていただきました!特集号には,アクセプトした6本の論文が掲載されておりますので,ぜひご覧いただければ幸いです. 特集号はこちら 初めてのGuest Editorの経験は…

なんと腎臓から始まるパーキンソン病!!αシヌクレイン病理の新たな伝播経路

パーキンソン病やレビー小体型認知症は,異常なαシヌクレイン(α-Syn)の蓄積によって進行する神経変性疾患です.これまでもα-Synは腸管で産生され,迷走神経を介して脳へ伝播するという仮説が注目されてきました.しかし,中国から腎臓が新たなα-Syn形成の…

典型的なPSP/CBS症例にはIgLON5抗体関連疾患はまず含まれていない!ではどのような時に疑うか?

ご紹介する論文は,本邦の多施設共同研究「JALPAC(Japanese Longitudinal Biomarker Study in PSP and CBD)」の一環として行われた研究で,進行性核上性麻痺(PSP)や大脳皮質基底核症候群(CBS)の診断基準を満たす症例におけるIgLON5抗体関連疾患の頻度…

マンガン中毒に伴うパーキンソニズムにビオチンが神経保護効果をもつ

マンガン(Mn)中毒に伴う神経毒性が,パーキニズムを引き起こすメカニズムを解明し,それに対するビオチン(ビタミンB7)の保護的効果を明らかにした米国コロンビア大学などのチームによる研究が,Science Signaling誌に報告されています.ビオチンは細胞の…

頭部外傷は単純ヘルペスウイルスを再活性化してアルツハイマー病リスクを高める!!

1月19日に,日本内科学会の「第52回内科学の展望(奈良県立医大 吉治仁志会長)」にて講演をさせていただきました.今年のテーマは「臓器機能不全の未来予想図―Future Perspective for Organ Failure―」でした.セッションI「臓器不全の現状と未来予想図」で…

免疫チェックポイント阻害薬関連筋炎において食道機能障害が生じる!

当科の大野陽哉先生,國枝顕二郎先生らによる症例報告です.免疫チェックポイント阻害薬(ICI)関連筋炎に伴って食道機能障害が生じる可能性を示した初の報告であり,症例の診療経過を詳しく示しました. 症例は69歳の乳がん治療中の方で,ICIのひとつである…

ハンチントン病の新しい発症メカニズムの発見!CAGリピートは神経細胞でさらに伸長する

ハンチントン病(HD)は,常染色体顕性遺伝を呈する神経変性疾患で,原因は huntingtin(HTT)遺伝子内のCAGリピートの異常伸長です.HD患者は36回以上(ほとんどの場合40~49回)になります.未解明な点が多く,代表的なものとしては以下が挙げられます. …

タウのリン酸化はヘルペスウイルス1型感染から神経細胞を保護している!!アルツハイマー病治療戦略へのインパクト

アルツハイマー病(AD)の病態にアミロイドβやリン酸化タウ(p-tau)が関与します.しかしこれらを脳に蓄積させる要因はよく分かっていません.しかし近年,ADとウイルス感染の関連が注目されており,そのなかにはヘルペスウイルス1型(HSV-1),帯状疱疹ウ…

片頭痛患者におけるCGRP関連抗体薬の心血管安全性がリアルワールド・データで確認された!!

片頭痛治療において非常に重要な論文が報告されました.片頭痛は女性に多い疾患で,世界中で15%もの人が罹患していると言われています.近年,片頭痛特異的な予防薬として,CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)またはその受容体を標的とするモノクローナ…

味覚性発汗とFrey症候群とホロコースト

朝のカンファレンスで,味覚性発汗(gustatory sweating)とFrey症候群について議論しました.まず味覚性発汗とは味覚刺激により顔面に発汗が生じる現象で,一部の健常者には生理的味覚性発汗が認められますが,耳介側頭症候群(Frey 症候群)や交感神経切除…

アミロイドβ抗体(アデュカヌマブ)はAβ・タウ動物モデルで,タウ病理・神経変性を抑制せず,グリア細胞を活性化する

アルツハイマー病(AD)に対し,近年,アミロイドβ(Aβ)を標的とした抗体療法が臨床応用されました.しかし抗体療法がタウ病理や神経変性に及ぼす影響については十分明らかにされていません.これは過去の動物モデルを用いた研究の多くは,Aβ病理に特化した…

新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(1月4日)

さて今回のキーワードは,ブースター接種は初回接種のみと比較してlong COVIDを23%低下させる,小児や思春期でもワクチン接種がlong COVIDのリスクを軽減する,感染時の腸内細菌叢の組成からlong COVIDを予測できる,COVID-19は神経細胞の機能障害と神経炎症…

運動失調,感音性難聴,末梢神経障害,性腺機能低下症の鑑別診断にオススメの図

図はNeurology誌のClinical reasoning(臨床推論)のものです.症例はインドの16歳女子で,早期発症運動失調(early-onset ataxia, EOA)です.10歳頃から不安定歩行となり,14歳で感音性難聴が出現,また無月経で,高ゴナドトロピン性性腺機能低下症と診断…

抗NMDA受容体脳炎を再現する動物モデルの確立と治療効果の評価

明けましておめでとうございます.本年もどうぞ宜しくお願いいたします.自分にできること,行うべきことを地道に頑張っていきたいと思います. さて新年最初に注目した論文は,将来,当科でもこのような研究をしたいという初夢を思い描いた研究です.抗NMDA…