てんかん

胎児を守る抗てんかん薬の選択――フランスにおける10年の劇的な変化

抗てんかん薬(antiseizure medications;ASM)は,てんかんのほか気分障害,慢性疼痛,片頭痛などにも広く用いられていますが,一部の薬剤は胎児に奇形や神経発達障害をもたらすことが知られています.フランスのEPI-PHARE研究チームは,全国母子レジストリ…

トピラマートとバルプロ酸は自閉症スペクトラム障害と知的障害のリスクを2~4倍高める

若い頃の話ですが,自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供の育児に悩む母親から,私が抗てんかん薬を内服していたせいでしょうかと質問されたことがあります.当時そのようなエビデンスはなく,先天奇形のリスクが増加しない程度の内服量であり,またASDはお…

claustrum sign ―サイトカインストームの脳障害マーカー?―

40歳女性が,発熱後6日目に急性脳症と極めて難治性のてんかん重積発作を呈しました.頭部MRIでは前障(claustrum)のT2/FLAIR高信号病変, いわゆるclaustrum signを認めました(図上段).本例は新型難治性てんかんの亜型であるFebrile infection-related ep…

認知症,変性疾患におけるてんかん発作の有病率 ―待望の剖検例の検討―

高齢者てんかんの診療ではその背景(原因)疾患を考えることになります.画像上,脳血管障害がなく,またアルツハイマー病(AD)も考えにくい場合,他の認知症や神経変性疾患が背景にある可能性も考えます.しかしこれまで,病理学的に診断が確定した症例を…

脳卒中後てんかんの診断と治療

Epilepsy symposium in Tokai というシンポジウムにおいて,国立循環器病研究センター脳神経内科の福間一樹先生による「脳卒中後転換の最前線」というご講演の座長を担当した.とても勉強になったので,若干,文献的な記載を追加し,要点をまとめたい. 【疫…

いかに過剰医療を減らすか:Top Five ListとChoosing Wisely(てんかん診療を例にして)

【過剰医療防止のためのTop Five List】 患者さんに身体的,経済的負担をもたらし,無駄な医療費の膨張にもつながる「過剰医療」を見直そうとする試みがある.過剰医療の原因として,以下が知られている. ① 診療報酬における出来高払い制度 ② 患者側の希望 …

てんかん初回発作の予後と治療;米国神経学会ガイドライン

てんかんの初回発作の患者さんが受診した場合,その診断と抗てんかん薬の開始に関して迷うことは少なくない.その判断は,自動車の運転や就業の可否など,社会的問題にも直結しうる.今回,米国神経学会(AAN)がsystematic reviewを行い,成人のてんかん初…

脳卒中に合併するてんかんの治療

最近,脳卒中に合併するてんかんの治療について勉強する機会をいただいたので,そのエッセンスをまとめたい.脳卒中後のてんかん発作は部分てんかんであることが多く,その場合,第一選択薬としてCBZが使用されるが,新規抗てんかん薬の登場により今後,患者…

てんかん治療の最前線(神経治療学会@北九州市)

神経治療学会@北九州市に参加した(2012年11月28~30日).興味深い発表がいくつもあったが,「てんかん治療の最前線」というシンポジウムがとくに勉強になったので,新規抗てんかん薬の使用方法と生活とケアに分けて,エッセンスをまとめたい.重要な治療の…

てんかん重積状態に対する病院到着前から開始する治療

てんかん重積状態を早期にベンゾジアゼピン系抗てんかん薬で止めることは予後の改善につながることが知られている.日本ではてんかん重積状態に対する治療として,ビタミンB1,グルコース投与に引き続き,ジアゼパム静注,これで止まらなければフェニトイン…

空港における神経学

「お医者様はいらっしゃいますか?しかも神経内科の・・・」と飛行機の中でアナウンスされたら名乗りべるべきか少し逡巡する.どんな病気をみることになるかよく分からないし,そして飛行機の中で対処できるのだろうかと不安になるためだ. そんな疑問に答え…

妊婦さんの抗てんかん薬の内服と児の認知機能への影響

てんかん治療のなかで悩むことの代表は,妊娠・出産を計画している女性患者に対する抗てんかん薬(AED)の選択である.本邦の「てんかん治療ガイドライン」ではどのように薬剤を選択し,その内服をどのように決定すべきか具体的には分からない内容である.た…

てんかん発作の診断補助としての血清プロラクチン測定

一般にてんかん発作は,病歴と身体所見だけで患者の85%が診断できるとも言われるが,実際には難しいものである.例えばてんかんと鑑別が必要な疾患として,急性症候性けいれん,失神発作(血管迷走神経性失神),偽性てんかん発作(心因性非てんかん発作,ヒ…

感電する海馬

イタリアからの症例報告.36年間のpartial complex seizureの既往のある52歳女性.最近になり抗てんかん薬の処方が変更になったのをきっかけに発作頻度が増え,右上肢のfocal motor seizureを来たし,lorazepamとphenytoinの静注を継続したものの,最終的に…

てんかん発作はストレスで誘発されるか?(米同時多発テロとてんかん発作)

てんかん発作を引き起こす誘引として,睡眠不足,飲酒,精神的ストレス,発熱,過労,月経,妊娠・出産,便秘などが指摘され,これらに対する生活指導が行われる.ただしその根拠については必ずしも十分とは言えないようである.たとえばストレスの場合,て…

どの抗てんかん薬が骨粗しょう症を引き起こすか?

抗てんかん薬(AEDs)のなかでもcytochrome P450を誘導する薬剤(carbamazepine;CBZ,phenobarbital,phenytoin;PHT)は骨代謝に障害を及ぼすと言われている.しかし,近年,cytochrome P450に対し阻害作用を持つvalproate;VPAも骨代謝に障害を来たすという…

寿命を延ばす薬の発見 ―抗痙攣薬は寿命を延長する―

これまでの遺伝研究から加齢を制御する機序は解明されつつあるが,加齢を遅らせる薬の同定にはほとんど進展がない.今回,神経内科医に馴染みの深い抗痙攣薬であるethosuximide,trimethadioneならびに3,3-diethyl-2-pyrrolidinone(DEABL;この薬はヒトには…

てんかん発作に伴う外傷は過度に心配する必要はない?

ミネソタ州ロチェスター(Mayo Clinicの所在地)において,てんかん患者の発作時における外傷の危険性についてretrospectiveなpopulation-based studyが行われた.患者は1975~1984年までにてんかんと診断された247名.外傷は口舌の外傷を除くすべてと定義し…

バルプロ酸ナトリウム急速点滴によるてんかんの治療

緊急を要する神経内科疾患の代表として,てんかん重積発作が挙げられる.抗てんかん薬(AEDs)が早期に有効血中濃度に達するためには静注による投与が望ましいが,AEDsのさまざまな副作用のため使用しにくいことがある.すなわち,心肺機能および意識レベル…